鳥取地方裁判所 昭和39年(行ウ)2号 判決 1969年3月10日
原告 本家和紀 外九名
被告 広島国税局長
訴訟代理人 山田二郎 外一一名
主文
原告井手口勝馬の訴を却下する。
原告山崎季治、同君野駿平、同本家和紀、同本家一女、同本家栄治、同小杉美代子、同十九百操、同本家頁夫及び同本家昇一の請求を棄却する。
訴訟費用はこれを四分し、その各一宛を原告井手口、同山崎、同君野の負担とし、その余の一を原告本家和紀、同本家一女、同本家栄治、同小杉美代子、同十九百操、同本家頁夫及び同本家昇一の負担とする。
事実
第一双方の求める裁判
(原告ら)
被告が原告井手口勝馬に対する所得税金二、八一二、三五〇円、加算税金七〇三、〇〇〇円、利子税金六二九、三二〇円を徴収するため、昭和三九年二月二〇日付で、預金名義人(原告)井手口勝馬、(応外)木家忠治供託金保管者(原告)山崎季治、(同)君野駿平(口座番号1の一五〇五七号、金額六、五八一、七七〇円、滴期日昭和二九年六月二九日)とする訴外株式会社鳥取銀行定期預金についてなした債権差押処分及び同年七月一日付でなしたこれの取立処分を取消す。
訴訟費用は被告の負担とする。
(被告-本案前の申立)
原告らの赤を却下する。
(被告-本案の申立)
原告らの講求を棄却する。
訴訟費用は原告らの負担とする。
第二双方の主張
(請求の原因)
一、被告は、さきに原告井手口に対して課した請求の趣旨掲記の所得税等を同原告が滞納したことを理由に、その徴収のため、請求の趣旨掲記のとおり定期預金(以下本件預金という)債権について債権差押及び取立の本件滞納処分をした。
二、しかしながら、右滞納処分時における本件預金債権者は以下の経緯によつて明らかなとおり、原告君野及び原告山崎であり、その余の原告らは、当時、右預金について次のごとき内客の条件付権利を有していた。すなわち
(1) 原告井手口は、訴外本家忠治との間における鳥取地方裁判所昭和三三年(モ)第六五号仮処分取消申立事件の判決に基づき、仮処分取消のための保証として、昭和三四年七月二九日鳥取地方法務局に金一〇、九八九、五七七円を供託にした。
(2) 従つて、右供託金の還付請求権者は右本家忠治であり、同人が還付を請求し得べき時期は右仮処分の本案訴訟(鳥取地方裁判所昭和三三年(ワ)第三七号事件として係属中)において、同人の勝訴判決が確定した時であり、一方、原告井手口は右供託金に対して取戻請求権を有し、その権利行使の時期は同原告が前記本案訴訟において勝訴判決を得てこれが確定した時というべく、いわば、供託者(原告井手口と)還付請求権者(訴外本家忠治)は、右供託金に対していずれも条件付請求権を有するものとして双方とも対等な地位関係にあつた。
(3) ところで昭和三四年一一月頃、右当事者双方及びそれぞれの代理人である原告山崎、同君野の間で、右供に金について次のごとき合意が成立した。
双方は、供託金の上述の性格に鑑み、右供託金を鳥取地方法務局より取戻し(本家忠治は右取戻に協力する)、現金化したうえ、これを双方の各訴訟代理人たる本件原告山崎、同君野に預託し、同原告らにおいて、これを訴外株式会社鳥取銀行(以下単に鳥取銀行という)の銀行預金としたうえ、善良なる管理者の注意義務をもつて保管の任に当り、将来、前記本案訴訟における勝敗が確定した時に、その勝訴当事者が右預託金の権利者となることとし、その際右預託金を右権利者に引渡すよう原告山崎、同君野が責任を負う。
(4) 右合意に基づき、原告井手口(代理人原告山崎)は相手方たる本家忠治の同意を得て保証取消決定を受け、昭和三四年一一月(一二月の誤記と認める)二六日、原告井手口代理人原告山崎が前記供託金(元金一〇、九八九、五七七円、供託利息金八七、九一二円、合計金一一、〇七七、四八九円)を取戻した(日本銀行鳥取支店支払の小切手で交付を受け、同日、同銀行代理店である山陰合同銀行鳥取支店で現金の支払を受けた)。
(5) しかし、右現金は上記の契約に基づき、原告山崎、同君野の保管に任されるべき性質のものであり、原告井手口及び本家忠治は右金員に対して右契約上の条件付権利を取得した。
(6) 而して、原告山崎、同君野は右金一一、〇七七、四八九円のうち、金一〇、九九〇、〇〇〇円を前記約旨に基づき、右同日、鳥取銀行本店に「預金名義人山崎季治、君野駿平」として定期預金したが、昭和三五年一二月二九日の満期日に際し、右預金の実体が上記の契約に基づくものであることを外形上も明確ならしめるを相当と考え、預金名義を「井手口勝馬、本家忠治供託金、保管者山崎季治、君野駿平」と改めた。以上の経過によつて、本件預金債権は成立したものであるから、右預金に対する預金債権者は原告山崎、同君野である。
(7) 右本家忠治は昭和三五年四月一七日死亡し、原告本家和紀同本家一女、同本家栄治、同本家頁夫、同本家昇一、同小杉美代子、同十九百操(以下単に原告本家和紀ら七名とう)がそれぞれ相続したので、原告本家和紀ら七名と原告井手口とは、上記の契約に基づき本件預金について前記内客の条件付権利を有するものである
三、そこで、原告らは前記差押処分に対し、昭和三九年三月一八日、異議の申立をしたが、被告は、同年八月四日、右異議申立を棄却する旨の決定をなし、同年八月二六日、該決定を原告らに送達した。
四、以上の次第で、右被告が滞納処分により差押え、かつ取立てた本件定期預金債権は原告井手口のものではないから、同原告に対する滞納処分の対象となるものではない。よつて、本件滞納処分の取消を求める。
(被告の本案の主張に対する認否)
被告の本案の主張第一項中、主張の定期預金が、昭和三六年六月二九日、主張のとおり二口に分割され、その後満期日ごとに更新されてきて、その主張の定期預金について本件滞納処分がなされた事実はこれを認める。その余の事実は否認。
(被告の本案前の主張)
(1) 本件定期預金の実質的帰属者(預金債権者)は、後記主張のとおり原告井手口であつて、原告山崎、同君野ではない。従つて、右原告両名は本件滞納処分の取消を求めるにつき、法律上の利益を有しないものであるから、原告適格を欠く。
(2) 原告井手口は、自己が本件預金債権の権利者でないというのであるから、これまた本訴提起の法律上の利益を有せず、原告適格を欠き、もし預金債権者であるというのであれば、自ら本件差押等の適法であることを認めることになり、主張自体理由がない。
(3) 原告本家和紀ら七名の主張が、将来において、同原告らの本件預金債権に対する権利関係が明らかになるという趣旨のものであるならば、現在において、本件預金について法律関係をもたない同原告らもまた本訴提起につき法律上の利益を有しないものというべきであるから、原告適格を欠く。
(原告らの請求原因に対する答弁)
請求の原因第一、第三項の事実は認める。
同上第二項の事実については、そのうち(1) 、(4) は認める(ただし(4) のうち「右合意に基づき」との点は不知)が、その余は不知
(被告の本案の主張)
一、本件預金債権者は、以下の経緯からも明らかなとおり原告井手口であるから、本件滞納処分に原告ら主張のような瑕疵はなく、本件処分は適法になされたものである。すなわち、原告井手口は、請求の原因第二項(1) 主張のとおり供託したが、同項(4) 主張のとおり(ただし、冒頭「右合意に基づき」とある部分を除く)右供金を取戻し、右金員のうち、金一〇、九九〇、〇〇〇円を「山崎季治、君野駿平」名義で烏取銀行の六ケ月満期の定期預金となし、その後、満期日ごとに右預金利息を右元本に繰入れて更新していたが、昭和三五年一二月二九日の満期日に際し、その預金者名義を「井手口勝馬、本家忠治供託金、保管者山崎季治、君野駿平」と改め、引続き六ケ月満期の定期預金となし、昭和三六年六月二九日の満期日に際し、右定期預金を元本金五、〇〇〇、〇〇〇円(後日訴外山陰労働金庫へ振替えた)と、金六、三二四、九五二円の二口に分割し、引続き一ケ年、六ケ月又は三ケ月の定期預金として、満期日ごとに更新していた。そこで、被告は、昭和三九年二月二〇日、原告井手口に対し後者の定期預金から発生した本件預金について滞納処分をなしたものである。
二、右のごとく、原告井手口が供託した供託金について、供託原因消滅を理由とするこの払渡請求権は、原告井手口以外の者には存せず、事実、同人がその払渡を受け、その金員の一部が本件定期預金となつたのであるから、本件定期預金債権者は原告井手口以外にはあり得ない。
第三証拠<省略>
理由
一、請求の原因第一、第三項、第二項(1) 、(4) (ただし、「右合意に基づき」とあるを除く)の各事実及び右取戻した供託金のうちから金一〇、九九〇、〇〇〇円が原告山崎、同君野両名義の鳥取銀行に定期預金(預入期間六ケ月)となり、昭和三五年一二月二九日(右定期預金の満期日)右預金名義が、井手口勝に、本家忠治供託金保管者山崎季治、君野駿平」と改められ、その後、満期日ごとに右預金利息が元本に組入れられ、新たな元本として定期預金が継続されてきたが、昭和三六年六月二九日(満期日)、その元本は(イ)金五、〇〇〇、〇〇〇円、同金六、三二四、九五二円の二口に分割され、それぞれ引続き一ケ年、又は三ケ月の預入期間として、満期日ごとに前同様にして更新され、右(ロ)の定期預金が本件滞納処分当時、本件預金として、その執行の対象となつたものであることは当事者間に争がない。そうして(証拠省略」によれば、原告井手口は右仮処分取消判決を得て、右仮処分の対象物件を他に売却することとし、その代金をさきに受領しこれをもつて右仮処分取消のための保証金に充てたが、右経緯を知つていた鳥取銀行が、右保証金の多額なることに着目し、自己銀行の預金として獲得しようと考え、原告井手口の訴訟代理人である原告山崎に対し預金の勧誘をなしたところ、同原告は、右仮処分並びにその本案事件(当庁昭和三三年(ワ)第三七号)の相手方訴訟代理人である原告君野に対しその旨を伝えて、右代理人間で話合つた結果、請求の原因第二項剛記載のとおり定めた外、右銀行預金は右本案訴訟における勝敗が確定するまでは原告井手口も本家忠治もこれが払戻を受け得ない、なお、右預金利息についてはうち供託金利息相当額の限度でこれを預金元本に組入れ、残額を原告井手口と本家忠治の間で均等に分割して自由処分をなし得るものとする旨合意し、原告井手口及び本家忠治も右約定に同意し、原告山崎及び同君野は右事件当事者の代理人として銀行預金を本人のために保管する目的で同原告両名名義で預金をしたことが認められ、右認定に反する証拠はない。
二、(原告本家和紀ら七名の請求)
前記認定事実によれば、原告井手口が、当初、保証として供託をなした当時、本家忠治は、将来、前記本案訴訟に勝訴し、原告井手口に対し前記仮処分執行による損害賠償請求権を認容されたときにはその限度で、供託法、供託規則に定める形式、手続に準拠して、供託物の還付を受け、還付された供託金から優先弁済を受け得る地位(担保権)にあつたといえるが、その後、右保証の取消について同意を与えたことにより右供託金に対する上記権利(担保権)を放棄したものといわざるを得ない。そうだとすると、原告井手口が法務局より取戻した供託金は、それ自体同原告所有の金銭であつて、本家忠治はその上に何等の物権的な権利を有するものではない。しかしながら、本家忠治は前記保証取消の同意を与えるについて、原告井手口との間において前記認定のとおり合意により右取戻された金銭が定期預金となり、前記本案訴訟において、将来、全部勝訴の確定判決を得たときは、右定期預金の実質的帰属者となり、その払戻を受けることができるものであるから、右定期預金について確定の勝訴判決を得ることを停止条件としてこれを物権的に取得する法的地位(ただし、この法的地位自体は原告井手口との債権契約上の地位にすぎない)を有していたものである。ところで本家忠治が、昭和三五年四月一七日死亡し、原告本家和紀ら七名が右忠治の遺産を相続したことは弁論の全趣旨に徴して明らかであるから、同原告らはそれぞれ相続分に応じて右法的地位を承継したものというべきところ、前記定期預金についての合意の効力が本件預金についても及ぶものと解せられるので、同原告らは本件定期預金についても前記同様の法的地位を有していたものである。しかるに、本件預金について被告のなした本件滞納処分によつて同原告らは右法的地位を喪失するに至つたのであるから、右滞納処分の違法を主張して、これが処分の取消を求めることについて直接的な個人的利益(法律上の利益)を有し、右取消訴訟につき、いずれも原告適格があるものということができる。
三、原告本家和紀ら七名は、本件預金が原告井手口のものではなく、原告本家和紀ら七名において条件付権利を有するものであるのに、被告がこれを原告井手口のものと認めて同原告に対する課税の滞納処分の目的としたことは違法であると主張するので、この点につき考えてみるに、前記第一項の事実中、鳥取銀行が原告井手口のなした前記保証金の多額なることに着目し、これを自己銀行の預金として獲得しようとして原告井手ロの代理人を勧誘したこと、右保証金は、もともと、原告井手口が前記仮処分取消判決を得て右仮処分の目的物件を他に売却することによつて得られる代金をさきに受領して充てたものであること、右保証金(の大部分)が鳥取銀行の定期預金として預入れられ、満期日毎に預入期間が、更新されその一部が本件定期預金となつたことに徴し、本刊定期預金を含めこれら定期預金の出捐者は、終始、原告井手口であつたということができ、証人三宅美春の証言によつて成立の認められる乙第四号証によれば、原告井手口は本家忠治との前記約定により本件預金を自由に処分し得ないものではあるが、自己のものと認識していたことが認められる。もつとも、本件預金名義人は原告山崎及び同君野(その後、「井手口勝馬、本家忠治供託金保管者」という表示を冠した)であつたこと、証人崎山光哉の証言によれば、右定期預金については原告山崎及び同君野両名が各保管する同原告ら双方の印章によつてのみ払戻をなすことができたことが認められ、また一方においては、本家忠治は原告井手口との間で、将来、自分が本案訴訟において勝訴したときに右定期預金の権利者(預金者)となること、それまでは、右預金利息につき供託金利息相当額を超える分について原告井手口と均等に分割してこれを自由に処分し得ることを約定し、預金利息について右約定に従つてその一部を自由に処分していた(原告君野本人尋問の結果によれば、本件滞納処分後は頂金利息全部を元本に組入れる旨約定を変更したことが認められる)ことも明らかである。しかしながら、本件預金が原告山崎及び同君野両名名義であり、かつ、同原告ら双方の各保管する印章によつて払戻すこととしたことは、元来、原告井手ロや本家忠治の代理人であつた原告山崎及び同君野が前記のような経緯で定期預金となつたものについて、前記約定の趣旨に則つてこれを本人のために保管し、その間の任意処分を封じ、将来、本案訴訟において勝訴したものに対し右預金(又は払戻を受けた金銭)を帰属させる便宜上とつた方法にすぎず、<証拠省略>及び弁論の全趣旨によつても原告山崎及び同君野が本件預金について実質的処分権限を有していないことが窺われる。また、本家忠治乃至原告本家和紀ら七名は前記約定の趣旨に徴し、将来、本案訴訟において勝訴したときに右預金の権利者となり得るものとはいうものの、本件滞納処分当時には、まだ、右預金について物権的な権利を取得するに至つておらず、前記約定により、同原告らが預金利息の一部を原告井手口と折半の上、自由に処分し得たとしても、右事実から同原告らが、預金自体について、物権的な権利を取得していたものということができない。以上の事実に鑑みれば、本件預金は原告井手口が自己の預金とする意思で自ら出捐してなしたもので、ただ、本家忠治との約定の趣旨に則り、両代理人名義としたものにすぎず、その限りにおいて預金者は原告井手口というべく、ただ、右約定により、同原告が将来、本案訴訟において敗訴し、原告本家和紀ら七名が勝訴したときには、前記のとおり原告本家和紀ら七名が本件頂金について権利者となるので、その反面、原告井手口が右預金の権利を喪失するにすぎない。
以上要するに、本件預金の帰属者は原告井手口とみるべきものであつて(原告本家和紀らにおいても本件預金の全部又は一部につきこれが本家忠治に帰属するとは主張していない)、この点につき本件滞納処分に違法はないし、また前記のとおり、右忠治は原告井手口との契約により、本件預金に関し同原告に対する前記のような請求権を有していたことが分るけれども、これは同原告に対し債権的効力を有するにとどまると解するほかはないものであるから、右忠治において右請求権を有することをもつて第三者たる被告のなした本件滞納処分を違法とすることもできず、結局原告本家和紀ら七名の右主張は理由なきに帰する。
四、(原告井手口の請求)
原告井手口は本件預金について条件付で権利を有するが、現に自己のものでないのに、これを同原告のものとしてなした本件滞納処分は違法であると主張し、その主張の趣旨必ずしも明確でないが、まず同原告において本件預金が自己に帰属するものでないと主張するのなら、この点において本件訴の利益を欠くし、本件預金につき同原告の主張するいわゆる条件付権利しか同原告にないのに右預金全部が同原告に属するとして本件滞納処分がなされた点を不服事由として主張しているとみても、同原告が本件滞納処分の原因となつた租税債務を負担していることを争うものでない以上、同原告に本件訴の利益を認め難いから、いずれにせよ、同原告につき本件訴の利益を首肯することは困難であり、従つて、同原告の本訴は本案につき判断をなすまでもなく、不適法として却下を免れないものである。
五、(原告山崎、同君野の請求)
最後に原告山崎、同君野の訴については、仮にもし同原告ら主張のように本件預金が同原告らに帰属すると認められるべきものとすれば、そのことだけで本件滞納処分が同原告らに対する関係で違法とされるべきであるから、同原告らにつき同原告らがその本案請求の当否についての判断を求める利益すなわち、本件訴の利益自体を否定することはできないので、進んで同原告らの本訴請求(尤も本件の同原告らに関してはその訴の利益を基礎づける主張事実が同時にその本案請求を理由あらしめる事実になるという関係にあるが)について考えるに、いずれもすでに認定したところから明らかなとおり、本件預金の帰属者は原告井手口とみるべきであつて、原告山崎、同君野は本件預金の保管の責に任ずべきものにすぎないとみるべきであり、原告井手口が本件滞納処分の原因となつた租税債務を負担していることは原告山崎、同君野においても明らかに争わないところであるから、本件滞納処分に同原告ら主張のような違法を認めることはできず、従つて同原告らの本件請求は理由がなく棄却を免れないものである。
六、以上の次第で、原告井手口の本訴請求はその本案の当否について判断するまでもなく、その訴を却下すべく、その余の各原告らの本訴請求はいずれもその理由がないことに帰するので、これを失当として棄却することにし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法第七条、民事訴訟法第八九条、第九三条を適用して主文のとおり判決する。
(裁判官 中村捷三 海老塚和衛 相瑞一雄)